●「続・知らざる日豪関係」(113)
〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
「席内でかがみ込んで、足元を調べながら、私は操縦桿が連結されていたはずの、水平に取り付けられているシャフトのクランク部を、前後に動かしてみた。
そしてその手応えが、あまりにスムースなのに驚いた。
これがまる三十五年間、熱帯のブッシュの中に放置されて、三十五回の雨期を経験してきた機械の部品なのだろうか。
クランクの継手部などは、製造当時とさほど変わらぬのでは、と思えるほどきれいだ。
材質がジェラルミンだということも大きく影響してはいるのだろうが、それにしてもメルヴィル島のブッシュの中で、よくもここまで耐えていたものだ。」