●「続・知らざる日豪関係」(117)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「いかに飛行機として、戦闘機として優れた性能を誇っていた零戦といえども、そのエンジンをやられ、推進力を失ってしまっては、もはや手も足も出ない。
 ただの宙に浮く金属の物体である。
 そしてここからが重要なことなのだが、被弾したあと、南機はメルヴィル島に『墜落』ではなく、『不時着』していたようだ。
 これは機体の骨材に歪みがあまり見られないことから、ほぼ明らかである。
 ただし、ひとことで『不時着』といっても、かなり強引な不時着から、グライダーのように滑らかな不時着まで、その程度はさまざまである。」