●「続・知らざる日豪関係」(118)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「機体の骨材は歪んでないが、翼端がひきちぎられたように破損しているのは、決して滑らかな不時着ではなかったように思えるのだが、これに対しハスレット氏は、逆に相当スムースな不時着をしていたのではないかという。
 たしかに翼端部などは非常に弱いので、たとえスムースな不時着をしようとも、地上の樹木で簡単に破損してしまうことは考えられる。
 またかれをはじめ、他の研究会員たちは、このパイロットは『ファースト・クラス』だという。
 かれらのいう『ファースト・クラス』とは、『被弾した場合はいさぎよく・・・・・』という軍人魂のことを意味しているのではない。
 被弾し、飛行不能となったなら、すみやかに機体を操作して、無事に不時着する技術が優れているということである。」