●「続・知らざる日豪関係」(119)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「ハスレット氏がそう判断した理由の一つには、次のようなこともあったらしい。
 かれは過去に南機のほかに三機の零戦捕獲品を調べたことがあるが、南機には無線電話装置ほか全計器類が装備されていたのに対し、他の三機には無線電話装置と基本的な計器類以外は装備されていなかった。
 通常リーダー機以外には全計器はついていないので、したがって南機はリーダー機だったのだろう、とかれはいう。
 リーダーすなわち熟練した上級搭乗員であることから、このパイロットはファースト・クラスで、滑らかな不時着をやってのけたと判断しているのだろうが、果たしてどうだろう。 
 はっきりと『敵地』とわかっているところへ、リーダーになり得るような上級搭乗員が、みすみす捕虜になるために、見事な不時着などするだろうか。」