●「続・知らざる日豪関係」(122)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


零戦の機体調べがすんだ日の夜、むし暑い格納庫内で、私は研究会のメンバーに混って、零戦など航空機にまつわるエピソードを話し合っていた。
 例の南機のみならず、B25やP40、それにスピットファイヤーのパーツなどが、薄暗い照明に浮き上がる中で、話の種は尽きるところがない。
 右を見ても左を見ても、航空機愛好家にとっては充分な話題を提供してくれる物ばかりだった。
 中でも私が最も興味をひかれた話題は、今後かれらがはじめようとしている、零戦の復元作業計画だった。
 日本から、できるだけ詳しい零戦に関する資料を取り寄せて、それに沿って復元するのだという。
 南機を前に、計画案を説明するかれらの表情は、嬉々としていた。」