●「続・知らざる日豪関係」(123)
〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
「そんなかれらの話を聞きながら、大戦中に郷土を襲った、この『日の丸』のついた零戦を当時の形へと復元した場合、あの日空襲を体験した人々はどういうだろう、などと思ったのは私だけだったかもしれない。
計画図をひろげながら、かれらは純粋に、そして楽しそうにその零戦の優美な姿を賞賛しているのだった。
やがてこの夜の集まりも終わりに近づき、そろそろホテルへ引きあげようとしていたときだった。
会員の一人が私のところへ来ていった。
『ちょっと来てごらん、面白いものがあるよ』
かれに促されて、格納庫の奥の方へ行った。
そしてある場所まで来ると、かれは立ち止まって振り返り、足元の床を指さした。」