●「続・知らざる日豪関係」(125)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「なんというめぐり合わせだ。
 たとえこれらの弾痕が南機のものではないとしても、二〇ミリ機関銃を持っていたのは零戦だけである。 
 かれのいた攻撃隊のものであることは間違いない。
 三十数年前に自分たちが襲い、銃弾を撃ち込んでいった建物の中に、今その機体は引きとられ、大切に保管され、そしてまた元の姿に復元されようとしている。
 なんと皮肉な話だろう。
 翌日私は、操縦練習も兼ねて、メルヴィル島、バサースト島方面へ、自分自身で飛んでみることにした。
 南機はどのような『不時着』をしたのか、不時着には重要な要素の一つである不時着地点の地形、それを私は自分の眼で確かめたかった。」