●「続・知らざる日豪関係」(127)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「(中略)このあと、中野さんは、自らセスナ機を操縦して、バサースト島のミッション『セント・テリーサス』の中心地に降り立ち、20人ほどのアボリジニー(オーストラリアの原住民)に取材を試みた。(再び、中野さんの書かれた文章に戻る)。
『あの日、つまり日本軍がダーウィンを爆撃した日のことを、覚えておられますか? あの後、零戦が一機メルヴィル島に落ちたんですが、見ませんでしたか?』
 私は何でもいいから興味深いエピソードを聞かせてもらえれば、という程度の気持ちでいた。
 爆撃に向って行く『日の丸』の大編隊くらいは見ているかもしれぬが、空襲という異常事態の最中に、落ちてゆく飛行機など見る余裕はなかったかもしれない、あまり多くは期待すまい、と思った。」