●「続・知らざる日豪関係」(132)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「この話は相当に深く、かれらアボリジニーたちの間にひろがっているらしく、話してくれた老人はもちろん、ほかの人たちも、みなまるで自分たちが当事者であったかのように、身振り手振りを加えて、こと細かに説明してくれた。
 しかし突っ込んで尋ねてみると、残念ながら実際に『ジャパニー』を目撃した人は、一人もいないのだ。
 それに私自身、ここまでマティアスやアロイシャスの消息がまったくつかめず、会えなかったので、ことの信憑性に関しては、なんともいえない。
 もう一つ、これは集まった人々の中でも、『少数派意見』ではあったが、前述のエピソードとは若干喰い違うものがあった。」