●「続・知らざる日豪関係」(134)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「しかし戦場で、それも敵領土内でのパラシュート脱出など、日本軍にあり得ただろうか。
 前にも書いたが、これはほとんど考えられない。
 それに公文書の『敵機被害』記録はじめ、これまでに入手したオーストラリア軍側の記録には、日本兵がパラシュートで降下したことも、またパラシュートが発見されたこともまったく記されてはいない。
 かりに百歩譲って、オールド・ジョニーが見たというのは本当で、それが南だったとしてみよう。
 南忠男が、エンジンをやられた零戦から脱出し、そのあと零戦だけがフワフワとメルヴィル島に不時着したということも、考えられないわけではない。
 これは信じられないことのように思うかもしれないが、実際あり得るのである。」