●「続・知らざる日豪関係」(135)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「たとえば航空機愛好家たちの多くが好んで蒐集する複葉機などは、非常に安定性に優れ、練習機としても重宝がられているが、あの複葉機などはかりに飛行中のパイロットが失神しても、そのまま静かに降りてきて、着地してくれるほどである。
 したがって滑空性能抜群といわれる、小型軽量の零戦の場合にも、絶対にあり得なかったとは言い切れない。
 まして不時着地点は、あのブッシュ地帯である。
 ただどうしてもオールド・ジョニーの話で矛盾してしまうのは、風向きと増槽タンクである。
 公文書保管室の記録によれば、爆撃当時、風はダーウィンから北西に向って吹いていた。」