●「続・知らざる日豪関係」(138)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「オールド・ジョニーは、死ぬまで『自分は見た』といっていたというが、やはりどうも信憑性には欠けるようである。
 ただこの二つのエピソードのいずれにも共通しているのは、沿岸警備隊員のもとへ日本兵を連れて行ったのは、マティアスという名のアボリジニーということだ。
 少なくともこの部分だけは確かなようである。
 老人たちの話が、おおよそ出尽したと思われるころ、同行のアボリジニー氏は、
『さあ、次へ行ってみましょう。まだあなたの喜びそうな話がありますよ』
 と私をトラックの方へと促した。」