●「続・知らざる日豪関係」(141)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「キャンベラ公文書保管室で入手した『ダーウィン爆撃被害報告』には、たしかに『バサース島でアメリカ軍の輸送機が爆破された』とあった。
 かれがいう小型輸送機とは、多分これのことだろう。
 だがそのあとに、教会にまで被害を与えていたとは。
 市街地の教会ならば、軍事施設爆撃の余波ということもあり得るだろうが、こんな小さな何もない島で、明らかに教会とわかる建物に、なぜ日本軍は銃弾を撃ち込んだりしたのだろう。 
 そんな話を聞いて、私はなんだか居心地が悪い気分になった。
 ここで紹介されたブラザー・パイという神父さんは、六十過ぎの静かな老人だった。」