●「続・知らざる日豪関係」(143)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「平素は医療活動や物資運搬用などに使っていたというこの通信機を、ある日突然、非常緊急事態を知らせる目的に使うことになろうとは、かれらは思ってもみなかったことだろう。
 一九四一年十二月のはじめ、バサースト島とメルヴィル島のミッションは、風雲急を告げる西太平洋の情勢を鑑みて、本土南部の州へ疎開するようにと連邦政府から警告を受けていた。
 しかし疎開計画に関し、連邦政府首相ジョン・カーティンと本土南部の疎開予定地であるサウス・オーストラリア州の首相プレイフォードとの間で、アボリジニーや有色人種との混血を、白人と同じ土地へ疎開させるか否かでもめ続けていた。」