●「続・知らざる日豪関係」(144)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「有色人種が大量に流れ込めば、ただでさえ白豪主義の根強かった時代であるから、比較的人口の少ないサウス・オーストラリア州では、白人との間に摩擦を生じるであろうことは、火を見るよりも明らかだった。
 ミッション側はこうした動きに辟易とし、疎開を拒否し続けていた。
 とはいうものの、人種差別反対を叫ぶには、あまりにも時期が悪い。 
 戦争という重大事はすでに差し迫っている。
 結局情勢に追い立てられるように、女と子供たちだけは本土中央部のアリス・スプリングスへと、疎開させていたのだった。」