●「続・知らざる日豪関係」(146)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「私は、南の右目と眉の間にあったという大きな傷が、森木氏が想像するように『飛行機で突っ込んだ瞬間できた傷』であったなら、このときはまだかなり生々しかったのでは、と思い尋ねてみた。
 だが残念ながら1〇〇パーセント断定できるような記憶はないようだった。
 かれがいうには、その『男』は空襲の四、五日後、メルヴィル島の沿岸警備隊員に連れられて来て、ミッションの教会近くにある事務所で、本土からの軍関係者が到着するのを待った。
 そして軍関係者が来ると、拳銃を含む男の所持品が警備隊員から手渡され、男はかれらによって、滑走路で待つ飛行機の方へ連れて行かれた、ということだった。」