●「続・知らざる日豪関係」(154)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「私自身も扁桃腺を持病としてもっており、オーストラリア滞在中に二回も病院の世話になったが、いずれも八月と九月だった。
 この国の内陸部、ことに草原や砂漠地帯は独特の内陸性気候で、空気が極端に乾燥しているうえに、冬はもちろん春や秋といえども、日中は暑いが陽が沈むとうって変わったように冷え込みが激しい。
 内陸部に住むアボリジニーの調査で、それをしばしば経験していたが、こうした気候は扁桃腺炎にかかりやすいものにとってはかなり苦しいものである。
 捕虜収容所というのは、いずれもそうした内陸部に設置されていたので、宿舎などの物理的条件はともかく、気候はかなり厳しかったものと思われる。」