●「続・知らざる日豪関係」(155)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「南の場合、私と同様にこの乾燥した冷い空気により扁桃腺炎にかなり悩まされていたのではないだろうか。
 つまり扁桃腺炎で入院したのは最後の一回だけでなく、ほかの四回の入院も、同じ理由だったと思われる。
 五回の入院のほかに、かれは二回拘置場に入れられている。
 一回目はラヴディ収容所で、二回目はカウラ収容所に入ってからだ。
 この第一回目は、ラヴディ収容所に入れられてからわずか十三日後、つまり捕虜生活がはじまって間もない時期で、六日間拘置されている。 
 そして出所してからは、ラヴディ収容所へはもどされてはいない。
 最初捕虜名簿をチェックしたときには気づかなかったことなのだが、よく考えてみるとこの六日間の拘置は、ブルームの元潜水夫アンザイの話と符合しているのではないだろうか。」