●「続・知らざる日豪関係」(161)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「(中略)南忠男はその強硬派捕虜の中では、古参も古参、捕虜第1号の最古参で、いわば『牢名主』のような存在だった。
『カウラ出撃』の中で森木氏(注:著者の森木勝さん)は、はっきりとそれと名指しで書いてはいないが、全体をとおして読めば、所内における『古参強硬派指導者』が、戦意旺盛で主導権を握り、暴動の最先頭に立ってラッパを吹いた南忠男であることは間違いない。
 したがって、朝鮮人捕虜マツモトが密告した日本人捕虜の脱走計画とは、この『初期に捕虜となった強硬派』が起こそうと意図していた行動のことであり、南忠男がその中心人物だったことはほぼ確実だと思われる。」