●「続・知らざる日豪関係」(162)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「(中略)南は手渡された移送捕虜名簿を見て、『VERY BAD BUSINESS、WHY CAN ’T WE ALL GO?」(非常にまずい、なぜわれわれ全員が移動できないのか)と抗議したと報告書は続けている。
 英語学習に励み、かなり堪能になっていたであろう南が、その持ち前の英語力で反論するさまが目に浮かぶようだ。
 報告書の中でも、査問会議判定文の中でも、南が英語で抗議したことや、英語を話せることを強調していることから、司令部側も南の英語力にはかなり注目していたらしい。(中略)
 メルボルン公文書保管室の捕虜名簿『PWJA』のファイルには、一九四二年末までは『NAVY』や『AIR FORCE』の捕虜も多いが、一九四三年からはほとんどの名簿が『ARMY』である。」