●「続・知らざる日豪関係」(169)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「有刺鉄線に対する防具として、捕虜たちは毛布を運び、有刺鉄線及びコイル状有刺鉄線の上に投げ上げた。 
 手を保護するものとして、多くはトイレットペーパーを使用する中で、野球用グローブ、またはとくに準備されたに相違ないブーツの甲皮で作られたグローブを使用する者もあった。
 ハットを出る前に、藁製マットレスの内容物その他をもってハットに放火、短時間にして大火災が発生し、宿泊ハット十八、管理棟二棟全焼という結果となった。
 日本兵らは柵にたどりつくと、[バンザイ]の絶叫とともに毛布を有刺鉄線の上に投げかけ、その上を乗り越え、あるいは下を這って行った。
 毛布と厚手の外套を体に巻きつけた者がコイル状有刺鉄線の上で腹這いとなり、その上を他の捕虜たちが越えて行った』」