●「続・知らざる日豪関係」(174)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「南忠男飛行兵曹の最期である。
 ここまで報告書を読んできたところから判断すると、南は暴動の合図に突撃ラッパを吹き鳴らしたあと、ブロードウェイの二重ゲートを乗り越える集団の中にいたか、あるいは集団を率いていたかで、続いてブロードウェイに入ってから、南側へ向っている。
 しかし将校コンパウンドの入り口から八〇ヤードのところで倒れているため、将校コンパウンドへ向っていたのか、南側ゲートへ向っていたのかはわからない。
 それにしても、南忠男という男は、収容所の監視兵たちの眼、またはこの報告書を作成した人物の眼にも、印象的な存在だったらしい。」