●「続・知らざる日豪関係」(180)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


連邦政府の公文書などを中心とする調査をしばらくおいて、私は日本側の資料を調べてみようと思い、日本にいる友人のY君に手紙を書いた。(中略)
 公文書(注:日本側の)はなかった代りに、Y君はカウラからの帰還者の体験談や、国会図書館で入手したという手記のコピーを送ってくれた。
 そのうちの一つ、[人間の記録](徳間書店)は、著者御田重宝氏が暴動の当事者だった帰還者たちの証言を中心に、収容所の状況、そして事件について書いたものだった。
 証言の中に、南忠男に関する部分がいくつかあるので、孫引きではあるが引用させてもらう。
 昭和十八年四月ごろ捕虜となった、川崎賢一氏の証言。」