●「続・知らざる日豪関係」(188)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「『眞近にかけ出す足音がはっきり聞え、静寂の中に鳴り渡ったのは突撃ラッパの響きであった。
 一瞬、忘れていたものをいきなり眼の前に突きつけられた様にたじろいだが、どっと飛び出す班員達にそれはすぐかき消された。(中略)
 喚聲が上り、ラッパが一しきり鳴り渡った。
 見るとラッパを吹いているのはその格好で南兵曹だと判った。
 途端に、はじける様な一薺射撃が起り、南兵曹はくる〈 (注:くる)と廻るとばったりと倒れた。
 ラッパが鳴り止むと、また皆は地に伏せ、それ切り突撃は頓挫して了った』」