●「続・知らざる日豪関係」(196)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「そして、将校らの態度について情報部は次のように判断した。


1、日本軍将校らが集団脱走計画を知っていたことは確実であるが、その決行の日は知らず、おそらく兵から将校へ日時に関する情報伝達ができぬうちに、計画は[暴発]してしまったのであろう。
2、日本軍将校らが計画が実行に移されたことを察知したのは、兵たちがコンパウンドに乱入したときであろう。将校らはそのときおそらく、収容所守備隊制圧は失敗確実で、かれらが合流しようとも成功には結びつかぬまま死ぬことになる、と判断したであろう。ゆえにかれらは暴動に合流しなかった、と思われるのである。
3、日本軍将校らは暴動の全報告が日本へ通達されると判断していたことを示す、証拠文書がある。これがかれらに(軍人としていかに戦意を保ち、忠誠を尽しているかを日本へ知らせるために)、暴動における自分たちの責任を極力重くする要求を生み出させているのである。すなわち責任の認知、死刑の要求である。」