●「続・知らざる日豪関係」(201)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「その出撃合図のラッパで走り出した捕虜たちが、ブロードウェイの柵まで、そして柵を乗り越えてブロードウェイを走り日本軍将校キャンプの中に入るまで、いったいどのくらいの時間がかかるのだろうか。
 公文書にあるカウラ収容所平面図には縮尺が示されてないので、正確にはわからないがおおよそ五〇〇メートルほどと思われる。
 日本兵捕虜がこの距離を走る間、いったい将校たちは何をしていたのだろう。
 たとえ情報部が判断するように、『兵から将校へ日時に関する情報伝達ができぬうちに、計画は[暴発]してしまった』のだとしても、それまで何カ月間も連絡を取り合っていたのだから、ラッパの音だけで異常事態に気づいたはずである。」