●「続・知らざる日豪関係」(202)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「しかもあのだだっ広い草原に響いたラッパの音は、『デテクルテキハー ミナコロセー、デテクルテキハー ミナコロセー」という、簡単明瞭なものだ。
 計画があったとするならば、これだけでかれらは『時機到来』を気づいていなければならない。
 まして『日本軍将校らが計画が実行に移されたことを察知したのは、兵たちがコンパウンドに乱入したとき』などということは、もう絶対といってよいほどあり得ないことである。
 にもかかわらず日本軍将校は行動を起こさず、なだれ込んできた日本兵もすぐに鎮圧されている。
『収容所守備隊制圧は失敗確実で、かれらが合流しようとも成功には結びつかぬまま死ぬことになる』と判断するにはあまりに早急すぎるし、打算的すぎる。」