●「続・知らざる日豪関係」(205)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「守備隊兵舎跡や病棟跡などは、まだコンクリートの土台が残っているのですぐにわかるが、木造ハットなどの位置はあとかたもないためにつかみにくい。
 しかし上空で何回か旋回するうちに、かなりの様子はつかめてきた。
 私はもう少し細部を見てみようと、高度を1〇〇メートル以下に下げていった。
 病棟跡の土台の一つひとつ、カウラの丘の岩がはっきりと目に入ってくる。
 そして牧草地の上をじっと見ると、小さな白っぽい点が、収容所跡を縦断するようにずらりと二列になって並んでいるのが見えた。
 牛の放牧にでも使う道具の跡なのだろうか、それとも柵を移動した跡だろうか。」