●「続・知らざる日豪関係」(212)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「南が出撃合図のラッパを吹いたときから、最初の捕虜が将校キャンプ・ゲートにたどりつくまで、これだけの時間がかかっているのだ。
 しかもこれは当時の日本兵よりもはるかに恵まれた体格のS君の脚で算出した仮定である。
 あの晩脱柵した日本兵は、これよりも一分または二分、いやそれ以上かかってたどりついたかもしれないのだ。
 六分間というのは、かなり長い時間である。
 その間、将校らがBコンパウンドのラッパの音と、怒号を聞いて、計画が実行に移されたことを知らなかったなどということがあり得るだろうか。」