●「続・知らざる日豪関係」(214)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


コンパウンド入口には二十四時間歩哨が立っているし、ブロードウェイ南側ゲートには監視塔があり、やはり監視兵が常駐しているのだ。
 手旗のみならず、道具を使うような連絡では、簡単に見つかってしまう。
 日本兵は所内作業で結構いろんなものを作っていたというので、あるいは小さな目立たぬ手旗でも作ったのかなと思い、私は試みにボールペンとノートの紙で手旗を作り、将校キャンプ跡に立つと、昔ボーイスカウトで習った信号を真似てみた。
 しかしBコンパウンド跡に立つS君は、辛うじて見えるが『読み』づらいという。」