●「続・知らざる日豪関係」(219)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「『南忠男のことを覚えておられますか。
 あの暴動は南忠男が中心になって計画したもの、つまりかれが首謀者だったと思うのですがいかがでしょう』
『ノー』
 ほとんど間髪を入れずに、静かだがはっきりした声で、ネグレヴィッチ氏は言い切った。
『しかしあの暴動はBコンパウンド内の強硬派捕虜が計画したものだといわれています。
 南はその強硬派の中心人物であり、かつ収容所内の主導権を握っていたはずですが』
 私はそれまで調査してきたことを順に説明し、どうしてもこれは南が首謀者であったとしか思えない、といった。」