●「続・知らざる日豪関係」(223)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「かれらのわきを抜けて前の方へ行くと、全員の前で、ある捕虜がスピーチをやっていました。
 それが南だったんです。ええ、かれはハンサムでしたよ。
 そのときは顔を合わせて挨拶をしただけですが、その後かれとよく話しました。
 毎日一回、いやそれ以上ですね、二回のときもあれば三回のときもありました。
 そうですね、いつも三十分以上は話していました。
 その辺にすわり込んで話すこともあれば、立ち話のときもありました。
 かれは断じて強硬派なんかじゃありません。ジェントルマンでしたよ。」