●「続・知らざる日豪関係」(226)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「平均年齢五十歳という軍隊としては異常なほど高齢者が多い第二十二守備大隊の中で、若いネグレヴィッチ氏はむしろ敵であっても同世代の南のほうが親しみをもてたのかもしれない。 
『それはいろんなことを話していましたよ。
 収容所内の話、オーストラリアの話、戦争の話もしました。まあ雑談ですね。
 しかしかれは自分自身のことは絶対に話しませんでした。
 私のほうから私の子供の頃のことや満州のことなども話しましたが、かれの家族のこと、日本の田舎のこととなると、何度聞いても話してくれませんでした。
 そのことになると、口を閉じてしまうんです』」