●「続・知らざる日豪関係」(235)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「第一信を書いたとき、『戦争を知らぬあなたの世代には、われわれの気持ちは理解できぬこと』と詳しいことなど教えてくれないのではないかと、心中不安だった。
 しかしすぐに届いた返事の内容は、『われわれは当事者であったがゆえに、暴動そのものに関しては記憶しているが、収容所全体のことや、その背景となると知らぬ事実も多々ある。
 その辺をあなたのような方がオーストラリア側から、また日本側から調べてくれるのは、われわれにとっても意味のあることだ』というものだった。
 衒いのない、真摯な手紙に私は気をよくし、その後いくつかの質問をしたり、生還者としての意見を求めたりしていた。」