●「続・知らざる日豪関係」(239)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「それは私が『捕虜本人』の口からはじめて聞く、『カウラへの道』だった。
 おそらくほとんどの捕虜たちは、森木氏と同様、このままではいけないと思いつつも、わずかに残る生への執着を捨て切れずに、このカウラ収容所へとやって来ていたのだろう。
 森木氏の話がカウラ収容所内での生活、そしてあの暴動のことへと及んだとき、私はネグレヴィッチ氏の『むしろ金沢が・・・・・・』という言葉やボーマン氏の指摘した小島の件について、たまっていた疑問を吐き出すように尋ねた。
『とんでもない。金沢さんはそんな人ではありません。
 非常に温厚な人で、責任感の強い人ですよ。 
 だからこそ陸軍の代表に選ばれたんですよ』」