●「続・知られざる日豪関係」(262)

  〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「ただし前に書いたように、PWJM 110、004のイノ・ハルヨシだけは、南同様暴動事件で死亡し、未帰還となっている。
 濠洲カウラ会には、必ずしも暴動関係の全帰還者が入っているわけではなく、約四分の一弱が入会している程度だが、幸いにも四名の『元軍属』は、ずれもその会員になっていた。
 捕虜名簿にあった四人の名前は、やはり全員が偽名で、濠洲カウラ会会員名簿には、本名も記載されていた。
 PWJM 110、002の天野は本名が天本、PWJM 110、003の平田は平山、PWJM 110、005の高田は高原、PWJM 110、006の山川は古川と、それぞれが本名の姓の一字を変えただけのものである。
 これら四名の名前を選び出したあと、私はそのうちの一人、高田一郎こと高原希国に会うために、大阪へ行った。」