●「続・知られざる日豪関係」(264)

  〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「この高原氏ら『軍属』のたどった道と、南忠男のそれとではかなり違っていたものと思われる。
 ヘイ収容所で、高原氏ら五人は第六キャンプに入れられた。
 五人はその中で、商社員たちだけで構成される、第二班に入れられた。
 正金銀行のシドニー支店長、三井物産支店長、兼松江商支店長、岩井産業支店長、東綿支店長など、日豪貿易の老舗といわれる一流商社の駐在員らによって構成される班である。
 この第二班のハットに、南忠男が現れたのは、高原氏入所から五日後の四月九日だった。
『結構〃見栄坊〃の面のある男でしたね』
 と高原氏は、そのとき南から受けた第一印象を語る。」