●「続・知られざる日豪関係」(267)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「あの頃所内にはいろんな作業があり、そうした作業参加の手配をするのも、いつもかれが中心になって率先してやってくれていましたよ。
 食事の改善を要求してくれたのもかれですよ。
 ヘイ収容所では朝食にパンとバター、ミルクに紅茶、昼はカレーライスやチキンカレー、夕食はこれにさらに肉料理がつくんです。
 それに十時と三時には紅茶とビスケットのティータイムがあり、まあ捕虜にしてはかなりいい待遇だったんです。
 ところがカウラ収容所へ移されてからは、これが全部パン食中心になってしまい、われわれは閉口したわけですよ。
 そしたら南君が代表になって、収容所側にかけ合ってくれましてね、それからまた米が食べられるようになったんですよ。
 なにもかも、本当によくやってくれましたよ。」