●「続・知られざる日豪関係」(271)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「また、高原氏は南が相当熱心に英語学習に励んでいたという。
 私はこれまで、ブルームのアンザイの話から、南は捕虜になる前から英語ができたが、ここへ来てまたさらに学習したのだろうと思っていた。
 だがどうやらそうではなく、以前はさほどできなかったが、ヘイ収容所でのわずか六カ月の間にかなり頑張って、やがてカウラ収容所ではネグレヴィッチ軍曹に『南は英語が上手かった』といわせるほど、そして司令官に英語で抗議するほどに上達していたようだ。
 高原氏からこうした話を聞いたことによリ、私の南忠男に対する関心は、それまでとは比べものにならぬほど強くなっていた。」