●「続・知られざる日豪関係」(282)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「必ずしもここで、南忠男イコール豊島一と断定するわけではない。 
 しかし、このトランプの数合わせにも似た作業で、オーストラリア側からのカードと、日本側からのカードを並べ、双方から一枚一枚めくってゆくと、最後に残る二枚のカードは、何度繰り返してみても、片や南忠男であり、片や豊島一になってしまうのだ。
 そこで私は、南忠男が豊島一であったと仮定して、逆に豊島一が南忠男になるまでの過程を調べてみることにした。
 まず、前述の『飛龍』の『飛行機隊戦闘行動調書』の中で、豊島一の動きを出動順に最初から迫ってみた。
 最初の『戦闘行動』は、もちろん『ハワイ作戦』すなわち真珠湾奇襲攻撃からはじまっている。
 次に豊島が飛ぶのは、真珠湾攻撃から二週間後の十二月二十三日、ウェーク島攻撃の第二次攻撃である。」