●「続・知られざる日豪関係」(297)
〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
「むしろ生きのびようとする積極性さえ感じられる。
ラヴディ収容所で試みた脱走も、その一つだ。
虜囚としての生活を拒否し、しかし死を選ばずに、そこから逃げ出そうとしたからだろう。
明らかにかれは生きのびようとしていたのだ。
そしてそうした生きのびる姿勢は、被弾して落ちてゆく瞬間にも、必ずやあったはずである。
私は豊島機がメルヴィル島へ落ちてゆく経過を、もう一度組み立て直してみることにした。
なぜ豊島機は、被弾しながらも発火しなかったのだろうか。
素人の浅知恵による推量よりも、やはり実戦の経験者に尋ねてみようと思い、ふたたび靖国神社に電話して、今度は予科練出身者による団体を調べてもらった。」