●「続・知られざる日豪関係」(301)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「前部下方もやはりパイロットの死角ではあるが、自分の機と敵機のスピードが加算され、その分だけ標的をはずしやすくなる。
 その点後部からならば、追撃の速度を合わせれば、敵機は『止まった標的』となる。
 二座式以上の艦攻や艦爆の後部座席の機銃座が後部上方を向いているのは、こうした死角をカバーし、追撃を防ぐためのものだろう。
 こうして見ると、前部下方からの被弾はかなり例外のように思えるが、しかし障害物のない三次元の空中戦闘では、さまざまな不測の情況が起こり得るだろう。
 あれこれと読んだ中に、一冊だけ、この豊島機の前部下方からの被弾と、非常に似ている例があった。
大空のサムライ』という本で、著者坂井三郎氏は零戦撃墜王といわれる人である。」