●「続・知られざる日豪関係」(307)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「私が不時着の件について話しはじめると、会の事務所に居合わせた方が、
『ああ、そういうことなら、藤田さんに尋ねられたらいいですよ。
 あの方が零式に関しては一番詳しいはずですよ』
 といって、『零戦【れいせん】搭乗員会』の藤田怡与蔵(いよぞう)氏を紹介してくれた。
 零式搭乗員会とは、いうまでもなく元零式戦闘機のパイロットたちのみによって構成される、一種の戦友会である。
 藤田氏はその会の会長だった。
 かれは海軍兵学校を出て、南雲機動部隊の『蒼龍』で、戦闘機隊分隊長を勤めていた藤田少佐だった。」