●「続・知られざる日豪関係」(311)
〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
「艦上戦闘機の場合、長い航海期間中潮風にさらされ、増槽タンクの切り離しレバーがさびついてしまうんですね。
それで落とせなくなってしまうわけです。
空中戦に入る前にも、軽くするために増槽タンクを捨てますが、まあ零戦の場合たしかに戦闘機としての性能が高く、増槽タンクをかかえたまま空中戦に入っても、ほとんど影響はありませんでした。
しかし実際には落とさないのではなく、落ちなかったというケースのほうが多かったんじゃないでしょうか。
実際の不時着ですが、零戦は非常に滑空性能が良く、かなり長い距離をすうっと滑るようにして降りて行けます。
私もガダルカナルでの戦闘のあと、エンジンが停止してしまい、プロペラがウィンド・ミル(空転)している状態から燃料ポンプを操作して始動させ、止まってはまた始動させて、それを繰り返しましたが、結局は完全に止まり、滑空してブインに不時着したことがありました。」