●「続・知られざる日豪関係」(316)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「島の上空にさしかかる前から、または島にさしかかってから、南は滑空中に増槽タンクを落とそうとして、切り離しレバーを引いた。しかし錆がひどく落ちなかった。
 そして気速を保つための一定の角度をもって入ってきた南機は、次第に水平に近い俯角の滑空に移り、胴体着陸のために機首を持ち上げ、機体を水平か、やや上げ気味にした。
 次いでほとんど高度がなくなり、まもなく接地しようというとき、機体下部の一番低いところにある増槽タンクが、ブッシュ地帯の灌木に接し、切り離しレバーでは落ちなかったのが外部からのショックでポロリと落ちて、きれいな胴体着陸を可能にしてくれた。
 こんなふうに見ることはできないだろうか。」