●「続・知られざる日豪関係」(317)
〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜
「脚、増槽タンクとも、こうして考えてみると、藤田氏のいう不時着に望ましい状態にあったことは、なんとか説明がつく。
したがって南機、または豊島機の不時着は意図的になされた、という可能性は非常に強いように思われる。
豊島機の被弾は、ダーウィン東飛行場の上空で、地上の敵機を銃撃しているときである。
つまり高度は三〇〇メートルに満たないはずだ。
ならば高度三千メートルにしてようやく二〇キロ滑空できる零戦が、高度わずか三〇〇メートル程度から、どうやって八〇キロ先のタカプリミル・クリークまで滑空できるのだろうか。
零戦は全備重量(各機銃弾、落下増槽タンクを含む燃料搭載時の重量)で二千四、五百キロある。」