●「続・知られざる日豪関係」(326)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「『かれは私と視線が合うと、”メシがもうない”つまりもう燃料がないという合図ををしていました。
 その合図の動作ですか? かれは右手で操縦桿を握っていたので、左手で箸で御飯を食べる真似をして、次にそれを否定する意味で、左手を左右に振りました。
 それから、”じゃあ”というように私に向って手を振り、メルヴィル島の方へ降下して行きました。
 風防は開けてなかったように記憶してますが、どうでしたかねえ。
 不時着地点ですか、かなり海岸線に近いところに落ちたんじゃないでしょうかねえ。」