●「続・知られざる日豪関係」(327)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「なにしろこちらは高速で飛んでいるので、すぐに離れて行って見えなくなりましたから。
 私が目撃したときは、すでに燃料は流れてはいなかったようです。
 不時着が意図的だったかどうかですか? おそらくは意識していたんじゃないでしょうか。
 かなり滑らかに降りて行きましたからねえ』
 小山氏自身にとっても、豊島の最後の姿はかなりショッキングだったようだ。
 空中で、『じゃあ』と別れを告げ、降下してゆく姿など、想像しただけでも痛々しいものである。
 かれにとってこの『じゃあ』は、攻撃隊の仲間への別れであり、小山氏への別れであり、そして『豊島一海軍一等飛行兵』への別れとなったのだ。」