●「続・知られざる日豪関係」(332)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「この間まだ豊島機が巡航速度で飛べる状態にあったとして、『大丈夫ナリ』の合図のすぐあとに機首をメルヴィル島へ向けていたとすれば、一六〇ノットで五分間、つまり二四・七キロを飛べる。
 しかしまだ五〇キロには満たない。
 それに発動機の異常を察知してから打電するまでに多少の時間はかかるので、この距離すらも飛べなかっただろう。
 いったいどうやって豊島機は、メルヴィル島にたどりつくことができたのだろう。
 ほかに何か距離をかせげるような要素でもあったのだろうか。
 これもやはり素人の推量よりも専門家の意見をと思い、私はもう一度、零戦搭乗員会に連絡をとった。」