●「続・知られざる日豪関係」(341)

 〜中野不二男さんの「カウラの突撃ラッパ 零戦パイロットは なぜ死んだか」より〜


「この打電が、八時三十分である。
 被弾した時間から数えて、十二、三分、長くとも十五分くらいだっただろう。
 巡航速度から不時着に必要な気速一四〇ノットまで速度低下があったとして、この間に約六〇キロは飛び、そのあと残る二〇キロは、完全に滑空していたであろう。
 零戦の母艦着艦時、着艦フックをかけるときが、六〇ノット程度だと大原氏はいう。 
 ほとんど失速直前の速度である。
 豊島機が不時着の気速一四〇ノットから、六〇ノットまで落としながら二〇キロの距離を滑空したとして、七分から十二分くらいかかる。
 したがってかれは八時四十分前後に、メルヴィル島タカプリミル・クリークに不時着していただろう。」